SHENZHEN I/O

 さて、「やると決めたことだけはやる」と決めた結果、やること以外全く何もやらなくなった日々が絶賛進行中でございますが、

【悲報】けーぜろさん、特に何をする気も起きないので仕事をしてしまう

 という訳で昨年にTIS-100も無事終わったところで次作SHENZHEN I/Oを始めました。

 こんなゲームですね。


>RTFMとは、”read the fucking manual”(マニュアルを読みやがれ)という語句の頭字語である。
wikipedia

 何かもうこれで説明不要かな(笑)。

 アセンブラのプログラム入力画面をそのままゲームに仕立てるという凶悪なアイデアから始まったこのシリーズというか、前作TIS-100はプロトタイプという感じで正にこちらが本番。
 前回はノードごとのCPU能力を極限まで絞り込んだお陰で、ACCレジスタ一つで値の演算も入力条件判定もこなさなければならない(後はデータストアとしてのswapオンリーのBAKのみ)という、あまりの非効率さに頭を抱えつつも「それが独特のルールの(パズル)ゲームたらしめる所以」だとして享受するしかなかった前作に対し、今回は割合スムーズに入力と演算とデータストアがこなせるCPU仕様になっていて、もうそれだけで感動(ぉ)。
 今作はもうちょっと入出力の外部関係にシフトしていて、モジュールをピンとバスで繋いでどう制御していくかという、(以前からもその節はあったけれど)回路設計、正にゲーム内でもCADという単語が使われる設計ツールの趣。

 だから先のRTFMが示す通り、ゲーム内でも真っ先に「絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に絶対にマニュアルを読んで来いよ」と念を押される事から始まる、この見事な篩い落としっぷり。
 などと言っても実際はまぁ、割とチュートリアル的な単純な課題が多く続くのでそんなに身構える物でもないというか、自分には(まだ)ちょっと物足りない感。(とか思ってると若干ハマったりはしましたけど)

 前作(TIS-100)は3×4の最大12個のノードをとにかく自由に使う体だけれど、今回は2,3個の単機能で収まる課題が(まだ)多いというのも、個人的な歯応えの弱さなのかもしれない。そこは「慣れていないプレイヤーの導入」に相当気を遣っているという所なのかな。あくまで自分は前作経験者かつアセンブラ経験者なので。
 強いて言えば、前作はとにかくノード間の連携を駆使させられることで、同時並列処理やカスケードブロック的な処理構造が生まれる作りが見ててカッケェという所だけれど。うん、マニアックに過ぎますね(笑)。
 今回は(まだ)そういうのは弱いところだけれど、果たして今後どうなっていくか。
 今作は全体進行度が見える作りじゃない所も、一体今どの辺でこの先どうなるのかならないのか、というもどかしさが今はちょっとあるかもしれない。

 さてそんなゲーム性もさることながら、本メーカーZachtronicsが秀逸なのはその周辺のトータルプロダクトデザイン。
 素っ気ない実験作の前作ですら、ブラウン管のブゥンにメモリーチェックが走るところで無事に洗礼完了。加えて紙のマニュアルのスキャンPDFといった風体に、前使用者のメモ書きの跡。「昔はこうやってマニュアル片手に作業したもんよ」という特定世代以上のツボにグサグサと刺さりまくるこの雰囲気作りの巧さ。
 今回は綺麗に電子ドキュメントにはなっているものの、今度は基本部分のアセンブラCPUのみならず、周辺モジュールについての説明が各メーカーマニュアル(製品ガイド)の風体で差し込まれる作り。そういった部内の開発用資料の体裁。各々メーカーごとにデザインが違うのは勿論、我が社の素晴らしい製品をご活用下さい!みたいな謳い文句口調のメーカーもあれば、中国語のまま訳されてすらいなくて「読めねえよ」とか(笑)、あるいはデザイン性の欠片もないゴシック体ワープロ文章で「うん、この」な時代に取り残された沈み行く日本企業という(苦笑)、この容赦なく的確なエンジニア業界あるある感。
 「ゲームはやらんでいいから、このマニュアルだけでも面白いよ」と友人に投げておいたけれど、当人エンジニアでもないから伝わったかどうかは果たして不明(笑)。世代的なものは伝わるとは思うけど。

 そしてそんな部内資料を片手に、概念OS(concept OS)なる架空デスクトップマシンに向かって業務メールでチームメンバーのやり取りを眺めながら(流石に参加はできないけど)、概念CADなるソフトで回路設計に励む、そんな日々。
 うん、仕事だわこれ(笑)。

 今作は一介のエンジニアが転職エージェントに紹介されて、(現在大躍進中であるところの)中国・深圳の企業に現地就職するというバックストーリー。タイトルのSHENZHENはこの深圳ですね。ええ、大躍進どころか大爆発まで果たしたあそこです(汗)。
 ともあれそんなテック企業に入社して「前任者は投げ出したけど、君には期待しているよ」と(笑)。
 言うことははっきり言うタイプの、「くそったれなデバイスだがこんな仕事でも受けた以上はやらねばならない」などど正直な物言いの、(こんなトップが居てくれる現場ならけーぜろさんも無理なく毒を吐いて生きていられるのでしょうねと思いつつの(ぉ))、ちょっと厳ついけどやり手のリーダーに、如何にも下世話な趣味のデブ、髪もボサボサで改行一つない長文を投げつけてくるギーク風味(でも彼女はちゃんと居るそうです)に、「このプロダクト契約は大変重要です」等とキャリアウーマン思考全開のお堅い女性、そしてそれらに対して淡々と指示を飛ばすマネージャー。
 うん、如何にも洋ドラで見た!と言わんばかりの現場風景。
 それに外国人社員に対して「皆さん是非中国に馴染んで下さいね!」と中国ご紹介メルマガ的なトピックメールを流す事務のお姉さん。
 そしてスパム。

 ゲーム本編だけだとただの基地外じみた技術屋パズルなんだけど、とにかくこういう雰囲気作りの小洒落っぷりが非常にそつなく上手い。

 上手いんですけどね、ただこれらを味わうには「全て英語」なんですよ。(あと今回は中国語)
 SpaceChemでこそ幕間の小SFシナリオは日本語化はされていたけれど、まぁもうこんな物に付いてくる日本人は居ないよね、という以前に単純にローカライズ自体が殆どされていないのが実情みたいだけれど。
(※注:パズルをプレイするだけなら英語メール文は無理に読まずともプレイ出来ます。あくまで全体的に楽しみたい個人指向として。)

 TIS-100の時でこそ短いショートメッセージだったので何とか読んだけれど、こうもがっつり全面フル英語環境の体裁だと流石にこの世代の日本人には大変厳しゅうございます(苦笑)。
 まぁそれでも日々の技術調査は英語サイトを漁るのが常だけれど、文章よりも「プログラム言語は世界共通言語」な所を主に読んでいるだけで、文章は補助的に何とか読んだつもりになっているくらいが精々というレベルですからね。流石にこのレベルのがっつりメール文章は荷が重い。あと「そこのお前少しは改行しろ読みづらい」(笑)。

 そんな訳で、OCR的な物をどうにかしたいというところで今回探したのは「Capture2Text」。
 英語サイトなので逆に日本語の翻訳が例題になってるけど(笑)、この辺とか適当に参考に。
 これは物凄いお手軽操作で大変捗る。この無茶苦茶お手軽UI感は、我が敬愛するrapture先生に近い物がある。
 コツとしては、翻訳に使うgoogle先生が「改行=文章区切り」とみなす仕様なので、「Keep lines breaks」と外して一文化すること。しかしこれを行うと今度は逆に全文が数珠繋ぎになって、全て先ほどのギーク君のメール文章と化してしまいますが。しょうがないので自分で改行を入れ直す。あと(このゲームで使う場合は)紙の文字ではなく寸分違わぬPCフォントなのに、割とスペースやカンマ・ピリオドの解析ミスを起こして文が崩れるので、これを直す。こういう整形をその場でEditBox上で行いながら逐次再翻訳できるのが、このソフトの物凄く便利で優秀な所。素晴らしい。
 こうやってきちんと文章を整形した上で翻訳し直すと、実は割とgoogle先生の翻訳はしっかり機能する、している。少なくとも文章構造がかなり的確に把握できるようになるので、非常に理解しやすい文章になる。
 というか、これまでよく見掛けてきたガタガタな自動翻訳って全部こういう文章構造の解析ミスの所為だと思うんですよね。最初にPDFマニュアルをドキュメント翻訳に掛けた時も同様に改行=文区切りのクソ翻訳になっていたし。HTML翻訳ならばPやDIVブロック単位を文章として引っ張れるけど、OCRはそうじゃないから横1行の処理しかしません、って何だよそれと。段組になっているところは一つの文章ブロックだという判定処理が試されていないことに非常にびっくりさせられた。まぁOCRの難しさは存じ上げておりませんが。もうちょっと何とかしようとしないものなのかとガッカリした次第でありますよ。
 まぁそれを比較的容易に補えるCapture2Text様々でございます、ということで。

 そんな訳で、1ステージクリアするごとにポンポン投げ付けられる業務メールを頑張って読み解きながらプレイしておりまする。
 うん、やっぱり仕事だよねこれ(笑)。

 しかしですね、ここでちょっと思ってしまったのですよ、
 「仕事みたいなことをするなら(本当の)仕事をすればいいのかな」、と(大汗)。

 あ、はい、ネタに見せかけて実はリアルにガチで仕事かましてたけーぜろさんがここに通ります(苦笑)。
 正月休みにちょっとプレイした後は、気付けばずっと仕事べったりのお仕事マシーンと化してました。

 いやまぁこの辺は、例の如くで10割お仕事方面の諸事情が裏に控える根深いお話があるので10割カットで行きますが、格好良く言えば「やるからには完璧を目指す」(のはアイリちゃんの台詞にもありましたねー(ねじ込み))などと言えば聞こえはいいんだけれど、どちらかと言えば「納得は全てにおいて優先する」(ってノリで出たけど聞いたこともあるなと思ったらジョジョか)とでも申しましょうか。納得が出来る見込みがある内は納得しておきたい。

 そんな訳で今ちょっとこんなことやってられませんよねというか、これもまたちょっとプレイしてから書こうと思ってたら全く頭が切り替わらない現状に気付かされてしまいましたが。
 それこそこんな小難しい物じゃなくて、もっと脳味噌フリーでドロドロになるような物こそを探さないといけないのですよね、などと思いつつ。

 まぁまずは本業の気分の方を落ち着けつつ、こっちも記憶が吹き飛ばない程度にボチボチと。