まさしく愚策

 イカンね。また面白くもない話を怒り心頭に書き散らしたい思いと、それを形にするだけの気力の無さと。ただこの話題は余りにも身に迫る危険なので、今の内に触れておきたい。(と思っていざ書きだしたら案の定になりましたが)

 何がって、また「サマータイム」とかいう世迷い言が出てきたものだから。
 最初はまた森元の戯言が始まったかくらいに思ってたけれども、安倍が乗り気になった(?)とかいう話まで飛び込んできて、アカンこれはマズいと。
 ただでさえBSドキュメンタリーで大戦中の上層部の杜撰な意思決定を見せ付けられて、「日本は本質的に何も変わってないよね」と思っていたところのコレ。(参考:インパール作戦
 改めて見ると案の定「森は現代の牟田口」とか言われてる始末で、そもそも既に一度、経済効果どころか経済損失だと否定されている上で尚もトップの口利きで話が動こうというこの流れは、完全に大戦時のそれではないかと。全世界的に見た愚行から何一つ学んでいない。そういう話。

 そもそもサマータイム自体が、海外赴任の友人にさらっと「全世界がやめようという動きの中で始めるキチガイ」と評されるほど。
 世間一般の認識であるサマータイムの効果、オリンピックに向けた酷暑の対策とされるものは、逆に健康への悪影響、自律神経の乱れだの何だので、「そんなのやってみなければ分からないじゃないか(森元的に)」なんて話は実はぶっちゃけ大した話ではなくて、何よりも実害として大問題なのは昨今のITに支えられた社会システムへの甚大な影響。これを危険視する声は当然多数上がっているにも関わらずのこの動きは、正に現代のインパール作戦。

 こういう話は既にネットで幾つも話が出回っているので、自分みたいなのが書くよりもきちんと後ろ盾のある人の話を聞いて貰えればと思うところ。
 逆にこういう話は、冷静にコメントまで目を通して見て貰えれば分かるけれども、「IT技術者を騙った世論誘導」に過ぎない。むしろ技術者への風評被害もいいところ。
 もうちょっと技術的に踏み込んだ話としてはこの辺りとか。
 ※追記:ここの方が分かり易いかな。

 まあね、普通に考えて「(短期間では)無理」です、はい。
 出来る出来ないで言えば当然いつかは出来るが、短期間でのゴリ押しは無茶でしかないのだから確実に火を噴く。メリットはなくてデメリットというよりも最早リスクしかない。
 金融とインフラ系は大炎上だろう。それでも最大手なら資金だけは注ぎ込んでどうにか、どうにでもするしかない、正に地獄絵図。炎上しまくったみずほなんか今度こそ本当にトドメ刺されるんじゃないのという。
 そして当然自分みたいな所にも、少なくとも過去直接手掛けた仕事の相談はやってくるだろう。さて、今まで順にこなしてきた仕事を全て同時に回せるかと言えば当然NOな訳で、やむなく他社に回るだろうけれども、一から始める他業者が同コストで回せる筈もない。それでなくとも「何一つ得の無いシステム改修」に出る予算などたかが知れている(ましてや中小なら)。そのぶん低コストのぶっちゃけクソ安い何処の馬の骨とも知れぬ会社に阿鼻叫喚のシステム改修を受けて、挙げ句最悪はグダグダの惨状に再び泣き付かれる悪夢、という結末すらも想定しておかなければいけない。はっきり言って現場なんてこんなものです。
 因みに事前に対応してない方が悪いって? 「対応させる事で発生するコスト(当然そのリスクも含む)」を必要もないのに事前に払う会社など存在しませんよ? 全ては要件に従って成されるのが仕事。必要かどうかを確認した上で、必要だからやれと言われた時に「これこれこうなりますよ」で裏を取って進めるのが仕事。わざわざリスクを押してまで不要と見なされた設計を一人で勝手に盛り込む馬鹿など居ない(それは親切心ではない、ただのエゴ)

 更に言うと、「2000年問題(Y2K)はあれだけ騒いだ割に大したことなかったよね」、と甘い印象は当然持たれていることと思う。
 しかしあれは20年前。10年前ですら「まだガラケーだったのか?」と心底驚いてしまう、その更に10年前。ネットが庶民の前に落ちてくる遙か以前の、業務的なシステムが専らだった時代の話。そこから20年も経って世の中に一体どれだけITシステムが普及、浸透したというのか。
 それだけ対応件数の絶対数が桁違いの今において、ましてや新元号への対応も進めている横で、その他一般的なプロジェクトも動いている横で、その割り込みで「全く必要ともされていない」プロジェクトのねじ込みに割ける予算もなければ人員など望むべくもない。
 Y2Kは元々内在して認識もされていた問題に、それでもある程度はなあなあで後回しにされながらも、前もって計画を立てて対応していったもの。今回の状況とは全く完全に異なる。
 こういう所はきちんと周知していかないと温度感が全く噛み合わない。

 大体にして、大のNHKが世論調査で賛成50%?(見出しではなく最後の方)とか、これこそ世迷い言だろうに。
 あまりにも不安になって家族にも尋ねてみたけど、上記のような話を抜きにしても普通に疑問視しかしていなかった。一体どこの世論なのか。
 ましてやまだ現場に出てる親(70越え)が、「ボケボケの老人には分からないのでしょうね」、ってあんたも世間的には老人扱いだっつうのに(苦笑)。
 回答したのが「家に居る」ヒマなボケ老人に偏ってるってことだろうね。「サマータイム?なんだかしらんが暑さ対策ってのなら何でもやってくれ!」レベルの何も考えていない回答に過ぎないことは容易に想像が付く。
 こういう調査は(選挙なんかもそうだけど)世代毎に係数を掛けていかないと正しい数字は見えないだろうに。いつまで古くさい統計を行っているのか。一見正当性を謳っているだけの偏った統計、それこそ悪質な世論操作とすら思える。

 そもそもがこの企画自体、かつての二千円札同様、日本の社会基盤に目に見える形で名を残したいという見栄に過ぎないよね。実際に残るのは爪痕ですけども。
 ここでまたかって書こうとしてたら、実際は森政権下の施行だっただけで森当人の発案ではなかったけれども、まぁどちらにせよ今度こそはみたいな意地は確実に透けて見える訳で。そんな個人のプライドに、オリンピックのように一部の業界の利潤だけでは済まない、日本全体が巻き込まれるような話。
 先に挙げた話で言えば今回はいわば意図的に引き起こされるY2K。たった一人の世迷い言から始まる人災。天災から人災にクラスチェンジさせた福一といい、この国を人災で狂わせている事実をいい加減学べと。

 などとまぁ、確定もしない内から騒ぐと後で滑稽に思われるかもしれないけれども、それくらいに危険視せざるを得ない話。オリンピック自体全くの無関心なのでと傍目に眺めていたら、一体どれだけの愚策が繰り返されてきた事か。それが今回は身に降りかかる火の粉、そして日本のIT全体に降りかかる不幸ともなれば、楽観視もしていられない。

 これは長年見てきたからこそ口汚くも言うけれど、日本のITリテラシーは先進国最低レベル、IT技術も推して知るべしの低水準。前に見たドキュメンタリーか何かで(日本では巻き取れずに)欧州のソフトウェアを導入したという事例でも「日本にはもっと優れたシステムがあると思っていました」とナチュラルにdisられるくらいの、ぶっちゃけ「IT後進国」。何よりそれをそれと認識(自覚)できていないという重大な問題を抱えている状態。
 そんな所で更に「サマータイムに関して何一つノウハウの無い」ド素人の集団が、「2hという世界的にも前例の無い方式」に、「僅か1,2年」の期間で見様見真似の対応に終始する、それが果たしてどれだけ危険な事か。
 一体いくつのシステムが止まってデータが無茶苦茶になって、今度こそ本当に日本終わるぞ?という最悪の未来すら想像しうる。あくまで最悪だけれどもね。但し、仮に乗り切ったとして相応にダメージは被る。先のスライドにもあるように先に待つのは「IT業界の疲弊」、そして「停滞」。その意味でもやはり日本(のIT)は終わる。

 果たしてどうなるものか、大戦時のそれのように反対意見を封殺する事のない、今の日本政府の極真っ当な判断力に期待したいところ。

 っていうかね、先月から元気が無い、(身近に)面白い話題が無い、と喘いでいる所にこんな爆弾を投げつけられたら、そりゃもう発狂するってなものですよ。過去の疲弊がまとめて襲いかかってくるようなものだからね。
 こちとら折角、リハビリみたいな話をしようとしていた矢先に。
top↑