ARPG病の果てに

 さて「ソーマブリンガー」、一通りEXシナリオまで終わらせた。(それからまた大分経った(笑))
 実のところ前回の話は、「お陰様で銃が益々微妙になってきたよ!」という話に繋がる筈で、「これなら弓で一人旅をした方がまだ遊べたんじゃないか?」とExpert二周目への興味(未練)もちらつかせていた。ただ結局書き損ねたまま本編をクリアしてしまい、後に残るEXシナリオの方で試しに銃で一人旅を敢行してみたら案外何とかなって、それでひとしきり満足というか見る物は見て落ち着いた感じ。
(注:一人旅と言っても回復アイテム封印(→即効性の薄い魔法のみ許可)の線は譲らない都合上、ボス戦は「待避→回復」でテンポが鬼のように悪くなるだけなので、そこだけ仲間を囮にサクっと片付けてます。ここはもう元来のゲーム設計を全否定した上での足掻きプレイなので限界が来たということで。マゾプレイが目的ではないからね。)

 今回のガンナー一人旅でより強調されたのは前回触れた状態変化攻撃の凄まじい効力。麻痺(攻撃後に硬直)、スロウ(攻撃モーション速度低下)、スネア(移動速度低下)の各効果が露骨なまでに表れるので、成る程これは重ね掛けなんてしたらボスですら雑魚になるわと(笑)。ただその制約が意図された物かというと極めて疑問だけどね。むしろ最上位アビリティの「気絶」がたった1秒の持続効果の為に他の全ての効能をキャンセルしてしまうのでいい迷惑。瞬間的な機能としては十分だけど、何十発と打ち込むこのゲームでたかが一撃分の効能など何の役に立つのかと(他を捨ててまで)。まぁマルチプレイで味方の後ろから連射する分には高確率で無力化出来るので俺TUEEEといえばそうだけど、待っているのはただのボタン連打作業だし、それ以外じゃ上記の有様で、「一体何が面白いの?」という根本的な疑問を投げかけるには十分。
 一方、上記3種の主力攻撃はその効能の激しさ故に、どの敵に何が有効かはっきりしているので使い分けが肝要。とそう思えば遊べなくもないレベルにあるのは認めるけれど、実際間違って上書きしないよう注意を払いながらのプレイは「面倒くさい」し「すっきりしない」という思いの方が強い(ここはゲームが長丁場なのも心理的に影響するかもね)。遊べはするけど心底楽しめるか?と問い正したくなるようなそんなゲームデザインが随所に滲み出ている。
 特に腹立たしい(というかまず最初に「こりゃ駄目だ」と悟って一旦諦めたのを再燃させた)のが、視界と射程に関するプレイアビリティ。キャラが画面中央より前に出ないとスクロールしないので前方視界がとことん狭い。加えて攻撃のロックオンは画面内の敵にしか有効にならず、その射程内で一発撃つ間に敵が寄ってきて殴られるか否か程度のギリギリの間合いで常に戦わざるを得ない。しかもその一発一発のタイミングを図る為には敵の姿・行動をきちんと見据える必要があるが、それらを画面端ぎりぎりで行わなければならない矛盾。ましてやそれが重要になるデカブツほど画面端での視認性は非常に悪く、斜め見下ろしのグラフィックと合わせれば画面下方の位置取りが露骨に有利、というか画面上方が露骨に不利(ロックオンマーカーでも出ればまだ何とかなろうものを。ただひたすらに分かり辛い)。更に長方形の画面故に対角線斜めの陣取りが距離的に有利であることは言うまでもなく、「如何にして斜め下に陣取って戦うか」がゲーム上での重要項目となる。真下方向なんてもう、通路上でデカブツの待ち伏せを喰らった日にゃ最悪(テリトリーから離れないので誘き寄せには限度あり)
 これらは特に遠隔攻撃系だから問題になることではあるので彼等独特の短所にもなり得る訳だけれど、ただ間違ってもこれが意図されたゲームデザインである筈がなく、またこんな物をプレイスタイルの一つとして受け入れたいとは思わない。ましてやこれらを回避する為に画面外から軸合わせして撃つ(マップレーダーで存在は分かる)という作戦が有効だなどと、一時期3Dポリゴンゲー黎明期によく見られた(というか今でもか)「カメラの酷さで画面外の敵と戦う」日常が、よもや2Dゲーにまで浸食してこようとはね。まぁ2Dと言っても3Dポリゴンでキャラを描いてるので同じ事カー、とか的外れな事を言うくらいしかやることがありませんよ先生、ってなもので(苦笑)。


 要するに言いたいことは、「基本を疎かにしたまま作るとこういう事になる」と、そう思わされる良い見本だと。別にこのゲームに限った話ではないし、これはこれで諸々の要素を総合すれば結果的に遊べる程度にまとめ上げているのは解るのだけれど、そもそも出発点が間違っているからこの程度の遊びしか出来ない、という根本的な原因追及が果たして何処まで出来ているのかと。
 元々自分の遊び方は、本来の設計である「マルチプレイで皆でゴリ押す」ゲームデザインを全否定した上での勝手なものではあるけれど、それはマルチだからこうなるという話とは違う(っつーかコレ、いわゆるやり込み向けにシングル一人旅プレイまで前提に作ってるよね?露骨に)。もっと潜在的な問題として「基本が遊べなきゃ何をやっても実る訳がない」、そう思う訳です。むしろ、こんなもんちょっとずつ直すだけで全然遊び易さが変わるのに、という話。
 (戦闘)アクションというのは、敵の動きを見てそれに応じた行動を取る、それをリアルタイムにこなす遊びが基本なのですよ。状態変化ぶつけて無力化してタコ殴りなんてのはその先にある有利不利の味付けでしかない。まずは根本を見ろと。