Transformers4

 さて、なかなか上手くまとまりませんでしたが。
 実写TF4こと「トランスフォーマー ロストエイジ(Age of Extinction)」を見て参りました。
 以下、パーフェクトにネタバレご注意で。でもむしろ見る気のない人にこそ、こういうSF脚本はもうやめようぜって話として見て貰いたいかな。

 いやはや、もう四回目ともなると流石に学習しきっていて、いつものマイケル・ベイのしょうもない映画作りについては別にいいんですよ。どうでもいい人間パートは初見から無関心のままフリスク囓って眠気とバトルすることになったのも想定通り。「あ~、今回もつまらなかったね(笑)」でこともなく済ませて終了、そう思っておりました。
 しかしですね、今回のラチェット他のあの一件は、これはないわと言うか、これをやるなと言うか。
 ただのしょうもなさに劣悪を塗り込めた更なるマイナス補正を味わわされましたよ。

 今回はまたアメリカが何をやらかすかというと、(製作協力を降りた)軍の代わりにCIAが「国防」の名の下に、逃亡中のディセプティコンはおろか無抵抗のオートボットまでもを捕獲し、殺害し、亡骸を兵器開発に利用するという、いわゆるところの生体実験。正に典型的な「やってしまった」級の胸糞なお粗末ストーリー。ましてや、既に一度味方キャラクターとして描いた異邦人に対して行うべき所行ではないよ。
 殺害に関しては映像上では第三勢力のロックダウンが直接手を下していたものの、画面外の他ケースではCIA単独の行動があったと捉えるのは難しくはない。加えて、凶暴なディセップよりも(そもそもここは描かれていない)、直接的な対立は避ける意図のある、即ち捕まえやすいオートボットを標的とし、またオプティマス捕獲目的で利害関係の一致するロックダウンと共謀するなど、正に「きたない流石アメリカきたない」と言わんばかり。(そもそもTFという外敵に対しての軍備強化の為にTFに協力を仰ぐという矛盾は、当のTF・ロックダウンから見て「その程度では屁とも思われていない」ということに過ぎないのだけれどね。半端に喧嘩をふっかけて痛い目を見るだけ。)

 映画としては既に四作目、通算六本も予定していれば一度は人類との衝突もあろうとはいうものの、しかしこれをやったらおしまい、他種族との接触というテーマにおいて最悪の選択肢。
 そもそも前作3で侵略を受けた後のデリケートな状況下で、穏健派・理解派としてのオートボットと手を取り事態の収拾を図る努力はせず(前回までの協力関係は、役者・軍の降板で描きようがないという縛りはあるものの)、CIAの凶行を黙認してしまった米国政府は自らその手を切ってしまった形。大統領補佐が難色を示すという逃げは打ってはいるものの、公的に「オートボット含めたTF全体を危険視」という政府宣伝をしてしまっている以上、言い逃れの余地はない。

 更に言えば、ラチェットの亡骸の解体、熔解の作業現場にて「これはディセプティコンでしょ?」という、現場には知らされていない類の逃げ口上。それを言うなら、敵なら何をしても許されるのか?という話にもなる。捕虜の扱いとして言うなら大戦時以下。
 本当に世界は何一つ進歩していないなと、地球人類はもう滅びるべきだと、ああなるほど、「Age of Extinction」とはこの揶揄なのか、等々と怒りのスパイラルが沸々とわき上がる思い。

 とはいったものの、映像史上で言えば作品パターンとしては何ら珍しいものではない。プラスとしてせいぜいベイのショッキングと書いて悪趣味と読む脚色が加わった程度。(ラチェットもレッドフットもあれはただのリンチ。およそ文明人の所行ではない。)
 ただこういう地球外生命体SFモノの、言ってしまえば典型的且つ安易で安直で最も愚かしい脚本は、20世紀であれば話題にもなろうけれど、もはや前時代的すぎていい加減にしてくれと言いたい。(そういう時代の生き残りの監督だしねぇ)
 大体にして、生体実験という禁忌はマッドサイエンティストのような個人レベルの暴走であればまだ見過ごせる話であって、組織ぐるみ、それも政府機関がという嘆かわしさ。まぁ昔から政府の謀略は定番のネタではあるけど、それこそ批判を受けるべき前時代的な発想という訳で。
 挙げ句にオプティマスの面前で、ラチェットの亡骸を指して「技術探求のため」と人類のエゴを強弁し、「我々はテクノロジーではない!」と本気でオプを怒らせたハゲ眼鏡の彼はその場で握り潰されても文句は言えない。それどころか、大多数の仲間が解体される現場を目撃したその心理状況下でなお、施設は破壊しても工員は逃がす配慮を見せるオプティマスは何のかんので仏ですよ。それに比べて人類と言ったらもう。
 まぁ流石に武器を持たぬものに手を出すほどの無分別さはなかったという話でもあるのか、クライマックスで人間主人公に銃を突きつけたCIAの首謀者には、オプティマスはとうとうその引き金を引いてしまう訳ですが。そこに、今回のオプティマスの地球に対する信念の放棄が見て取れるとは思う。悲しい話。

 そもそもの話として、他のコミュニケーション可能な知的生物との接触、関わり合いというのは、それが存在しない(確認できない)現実では不問とされ、目を背けている問題でもある。
 仮に実際にそのような状況になったとして、弱肉強食の生態ピラミッドで考えるに、どちらが上につくかの競争になってしまうのが道理なのだろうか。
 しかしそれはつまりは戦い、戦争を選ぶということである訳で。
 知恵という強大な適応力を備えた生物同士の争いでは、上下関係を形作る前に滅亡が見えるというのは過去の歴史に学ぶ筈ではなかろうか。
 いやまぁ、それを言ったら何百万年と内戦を繰り広げた挙げ句に母星を崩壊に導いたのが彼等トランスフォーマーなのですが。ただそれだけに、同じ過ちは繰り返せないというオプティマスの強い思いはあった筈(何百万年といっても彼等は世代交代ではなく、開戦前から生き続けて歴史を見ている。生命としてのタイムスケールが違う)。それなのにね。

 まぁこの辺は可能性というか希望として、これまで地球を第二の故郷として切望してきたオプティマスの心が今回完全に失われてしまったことが後に伏線としてきちんと繋がるシリーズ構想があるのだろうかと。
 旧メンバーの刷新(一掃)や、Creatorsの影を追って最後に地球を離れるだけなら、何もここまでやる必要はないもの。地球人類との心理的な対立が深すぎて、確実に遺恨を残す話。
 あるいは、アメリカ(政府及び軍)とは完全に袂を分かったことで、今後はTFと若干名の地球人協力者という旧来のアニメの構造に立ち返ることが出来る可能性もある訳で、そこを期待するのもありかなぁ。

 ただこういった続きの展開を期待する上で、いよいよもってマイケル・ベイがどれだけ適任なのかと。
 鼻くそほじりながら全てをうっちゃってしまいそうで困る。
 そうでなくともただのアクション映画なんてものは一度見れば十分で、それが四度も同じ作りで続けられたのが奇跡。
 これ以上ベイの芸風に期待できるものは無い(個人的には最初からないが)訳で、物語・映像作り両面で、マイケル・ベイの降板を切に希望したい。
 (とか何とか書いたら余計にムキになって続けちゃうのかなー(苦笑))

 さてここからはストーリー面は抜きにしての映像作品面での感想をば。

 今回、軍が排除されたことで戦闘員がTF(と主人公)のみに絞られ、TFの活躍が前面に押し出されることになったのは良かった。
 特にロックダウンは悪役(ヴィラン)として完全に一登場人物の立ち位置となっていて、3から現れていた流れがより強化された点は好印象。
 オートボットの連中も、ちょっと兵器バカではあるものの他の口の悪い面子を諫めるハウンドなど、ただの戦闘員に終わらないキャラクター描写が度々挿入されていた。まぁあの虐殺を逃れただけあってか気性の荒々しい面子ばかりが残って、いわゆるところの赤組(赤いキャラが特にヤバい発言をするのがTFのお約束)ばかりになっていたのは残念だけどね。ドリフトは冷静な武士道キャラと思わせぶりで、度々唐突に暴れる侍かぶれになってしまっていたり、バンブルビーが子供のように怒ったり取っ組み合いの喧嘩を見せるなど、こぞって脳筋ばかりになってしまっていた。ただそれらは実のところ全部ベイらしい基地外演出のせいなんだよな(いわゆるファビョった馬鹿を描けばギャグになると思っている節がある)、ってことでスルーしたい。
 ただ戦闘員ばかり残ってしまったので、オプティマスが宇宙に旅立った今、新たな副官クラスが必要だよね。最初はプロールと言おうとしていたけれど、代理となるとマグナス辺りが欲しくなるなぁ。まぁロディマスも含めて、2010世代参入のフラグが立ったような気がしなくもない。

 ちなみに一方で、今回は玩具も含めてディセプティコンは完全に影が薄い。
 軍が退いたことで兵器が出せない話もあるにはあったけど、今回はどれもこれも車になってしまって、我々ファンはスタンティコンネタとして取れるからいいけれど、一般的には両軍の差が分かりづらくなってしまった気がする。まぁ次回の再起に期待したい。ガルバトロンってことはやはりサイクロナスとスウィープスだよね。軍もいらないから丁度いいか。
 それよりも気になるのは、今作で人造TFとして生み出された(当然の如く乗っ取られた)彼等は、従来の構造変換ではなく分子レベルで分解・再構築を行う新たなTFとして描かれたこと。これはもう何て言うか、トランスモーファー?(笑)(<パチモノ映画の題名)
 もう既に飽きちゃったであろうベイが新たな映像表現として考案したのだろうけど、それをやっちゃうともう何でもありだし、本来の構造変換立体パズルとしてのTFの在り方が損なわれるばかりで、正直なところ不評。
 変形の見せ方と言えば、実はトリプルチェンジャーだった驚きのドリフトも、シーンごとにヘリになるか車になるかのどちらかでしかなく、観客は混乱するばかりだったと思う(自分ですら??となった)。最初の内にヘリから車に直接遷移するシーンを描けなかったのは大減点。

 ここまでノリで書いてしまったのでついでに触れておくと、ダイナボット(旧ダイノボット)は、恐ろしいくらいにオマケでしたね(大笑)。
 何かもう話題として入れましたというだけで、新勢力Creators配下のロックダウンと、これですらオマケのガルバトロン以下ディセプティコンの新生が話の軸。更にダイナボットまでとなると完全に余剰。まぁ戦闘ではそれらしく暴れ回ってましたけど。「オレ(ME)!~」の伝統すらないしなぁ。
 あと国内名称が発音重視でダイナに改称されたらしいのですが。これはそもそも「ティコン→トロン」のような改名ではなくカタカナ表記揺れの問題だから、ダイノのままでも良かったんじゃないかとは思うけどね。まぁ頑張って慣れてみようとは思いますが、正直ちょっと言い辛いかな。

 でもって、今回の黒幕として正体は次回へ持ち越しとなったCreators。
 これはユニクロン、あるいはクインテッサか。私的には後者を期待したい。(冒頭に触手状の腕が見える情報もある)
 そもそも個人的には正直なところ、現在主流となっている創造神プライマスと破壊神ユニクロンの設定はあまり好きにはなれない。G1アニメ時代の思い入れというのもあるのだけれど、そもそも神として上が決まってしまうと、その時点で世界が閉じてしまうんだよね。世界が狭くなる。
 G1アニメ設定の好きなところは、(何も考えてなかっただけだけど)、ユニクロンを作り出したのはプリマクロン一個人だという、実に豪胆な世界観。それは即ち、この存在が唯一のものには留まらないことを示している。
 宇宙の何処かにはまだこんな天体クラスの生命体が平然と存在しているかもしれない。自分にとってのユニクロンは、そんな「宇宙すごい」という憧憬と畏怖の担い手としての存在なのですよ。

 Unicron Themeはいつ聞いても心が震えるね。

 それはそれとして、常識的に考えて6のユニクロン来襲はもはや確定事項と言っても良いので、その前段階として5でのクインテッサ登場に期待したい。
 冒頭でロックダウン配下の残党かなんかを前に、「無罪である」「ではシャークトロンの餌に」はお約束だよね。

 因みに今回、ちょっくら2chスレを覗いて一般の反応を眺めてみたのですが。
 胸糞展開は快く思われていないもののトータルとしてはそこそこ好評なのかな。TFの活躍が増えたのは確かだしね。
 一方で、2が思いのほか高評価? 逆に3が安定して大不評な感じ?
 私的には2で落胆した後に、3で巻き返した記憶はあるのだけどね。
 2は当初は確かにキャラ増量でお祭り度合いは増したものの、デバステーターの不甲斐なさ等、蓋を開ければガッカリな扱いが多く、冷静になって振り返ればゴールデンラズベリー賞を取るだけの散々な内容であった事が、当時の雑記にも表れていた。
 一方で3は、、、あれ?よくよく思い返すと小説版の記憶で埋め尽くされているような(笑)。映画は確かに映像的な見所もなくクソだったかもしれない。ただセンチネルを中心にTFの思惑が絡むような、キャラクター(登場人物)としての扱われ方が出始めたのはこの頃。そしてそれを補う形で小説版ではTF視点での描写が多数盛られていて、ラストも異なる作り。それまでとは異なる満足を得ていたのは確か。

 この点、4も同じく小説版で不満点の解消及び、満足点の強化を図りたいなと思ったのだけれど、帰りに書店に寄っても売っていない。それも最近やる気のなさが内輪で囁かれているハヤカワの問題ではなく、そもそも本国でも刊行されていないようだ。何という。
 まぁ今日日、活字はいよいよ流行らなくなってきたのかなぁ。うーむ、無念。
 いよいよもって、映画本編での次回作以降の出来の良さに期待するしかないではないですか。