MOE—

#が重要なのとは全く違いますが

 はてさてすっかり終わってからの書き込みになってしまった。実質的には先月の話なのに。
 (Wii)No More Heroes
 出始めの頃に見せて貰って良さげな印象はあったので借りるだけ借りてはみたもののそのまま長いこと積んでいたゲーム。360版が出るという話を機に買ってみようと思ったらえらく評判が悪いので素直にWii版を起動。(借り物だと覚悟が決まらないとかそういう思考もあるにはあったんだけど、バグ多発じゃ買いようがない)
 そもそも積んでいたのも「デモは良いが本編は気怠い(?)」という今時ありがちなゲームの印象が先立っていたからで、相当重い腰をよっこらせと上げてプレイし始めた反動か、思ったよりは全然良かったというのが物凄く正直な感想。ぶっちゃけもっとさっさとやっておけば良かったと思うくらい。この辺、別件でもあったんだけど借り主の話し方の癖に依るところもあったようで、「(良いんだけど)こういう所で損している」「あともう一歩」的な口惜しさを率直に出してしまう点の読み取り方が分かっていなかったかなという。そもそも自分自身がそういうタイプなので身に染み入る話でもある訳ですが。(俺だって悔しいと思えばこそ話に上げるんだよぅ。話法として適切じゃないのは分かってはいるけどさ。)
 実際、勿論ダルい作りがあるのは事実なんだけれど、良くも悪くも「これくらい普通」のレベルで、中だるみの起こる中盤以降はゲーム本編にも捻りを利かせてくる等、要所要所工夫の見られる構成を思えばむしろきちんとやってくれた方だとも思う。当初は丁度中だるみの起こる辺りまでしか見なかったというのがあまりにも間が悪い話だったかもしれない。

 もう少し具体的に言うと、まずはステージ間の金稼ぎ。Wiiのしょぼいポリゴン性能を最大限発揮したかのようなグラフィックレベルも相まって、マップ移動のお粗末さはプレイヤーの「我慢」を要求する作り。如何にもプレイ時間を水増しさせることを目的にしたゲーム作りのようで辟易ともさせられけど、それじゃあ幕間すっ飛ばして本編ステージのみ遊んだら楽しくなったか?、というと実はそうでもない気がする。「表のバイト」でフラグを立ててから「裏のバイト」で本格的な金稼ぎに入るというゲーム的な段取りを踏むと同時に、表のちょっと格好悪いバイトと裏の殺し稼業の二面性は主人公のキャラ付けにも繋がってくる部分。ガニ股走りでココナッツ拾いに興じたり、シュールな芝刈りしたり、如何にも退屈そうにガソリンスタンドで給油をこなしたり、猫じゃらしで猫を拾い集めたり。ただひたすらビームカタナを振り回すだけではない、主人公の普段の姿を味わうパートとして機能している感はあった。無論あまりにもしょっぱいミニゲーム風味なので二度やりたいとすら思わないのは残念だけれど、構成要素としては確実に演出を目論んで組み込まれたものなのでそこは否定するべくもない。
 裏バイトにしても1・2度こなせば金の貯まるレベルなので、「ちょっと暴れ回ってすっきりする」もので収まった。ただ、一つ目からいきなり短時間制限でターゲット退治な上に雑魚が密集するミッションなので印象が悪すぎるのが難点。この辺、諸々の作りが荒削りな点は決して除外しては語れないので、借り主の渋い言い回しも頷けるところ。ただこれはあくまで「勿体ない」という気持ちでの話。
 また、開発リソース的にもハード性能的にも厳しさの否めないマップ移動に関しても、ゲーム内世界に入り込む意味では「あって良かった」部分だとは思う。まぁ一昔の人間的に言わせて貰えば全体マップ絵からイメージを膨らませれば十分だという話もあるにはありますが(笑)。好きなシャツやジャケットを羽織って街を闊歩することで主人公とのシンクロを高めるという意味では十分効果的なものに思う(むしろだから360の高解像度テクスチャでやりたかったという思いもあったんですが)。なので次回作も無くならないだろうし無くす必要もないかと思う。強いて言えば任意ジャンプ機能さえあれば十分だと。

 といった風に、昨今ありがちな「水増し要素のゲンナリ感」も、敢えて必要な物として構成されていればこそ不満には成り得ないものなのだと。なかなか面白いものを見せてくれたゲームだったなと思う。

 無論、作品本編の評価としてはB級映画的エンターテインメントの話もあるんだけど、まぁ今回はこういった話もということで(笑)。
 簡潔に言うと、「おふざけと情けなさと、そして格好良さのバランス」。自分、ウケ狙い系にはゲンナリするタイプですが、この主人公トラヴィスの振る舞いは凄く好き。トイレ(セーブ画面)でズボンを脱ぐ時の腰の動き一つとってもモーションに凝ってるのがよく分かる。