つまりは手遅れと

 スタートレック ENT
 ここしばらくの度し難い敵性宇宙人エピソードを見ながら、何て言うか異星人の描写がつくづく薄っぺらいよねと。自分がこれまでのスタートレックシリーズで面白いと感じていたのは、異星人というものについて、姿形や考え方、価値観の違いのみならず、そもそも「生き方が違う」と感じさせられる部分だったと思う。
 攻撃的で猜疑心が強いだとか、人前で食事を採るのが無礼に値するだとか、それはまだ性格や習慣の違いであって、それらを土台にした文化概念の決定的な差異が出てくる事で初めて興味深さに繋がってくるのだろうと。この点、あまりにも地球型文化に染まった概念しか出てこないからつまらんのだよね、と。

 そんな事を書こうと思っていた所の #47 “The Breach”、#48 “Cogenitor”。いや話の出来自体は決して良くはないのだけれど、正にその辺、いつもよりはテーマ性のある話が続いたなと思ったら、両者共に過去シリーズの役者さんが監督を務めた回だったのはただの偶然なのだろうか(笑)。
 しかし悲しいかな、軽率な部下が引き起こした重大な文化干渉を戒める上官の役を、あのアーチャーに任せた所で「お前が言うか」という(笑えない)。タッカー少佐の「船長も同じ事をしたはずです」に、「私が同じだと!」と逆ギレかますシーンは、何だかもう不甲斐ないENTスタッフに対するラフォージ監督の精一杯の皮肉だったのではないかと勘繰りたくなるような(笑うな)。あのシーンはつくづく、「この役はピカード艦長にしか務まらない」と思いながら撮影していたのだろうなぁと思わざるを得ない。

 などと考えてしまうと、もうどう料理しても食えない構成になっちゃってるんだなぁと感じてしまった今日この頃。やはり最初のキャラ作りって重要だよね。DS9の頃はほんと上手かったからなぁ。残念無念。

 #49 “Regeneration”。
 ボーグ登場。してもいいのかという歴史的矛盾をさておけば、正直なところ、ここは時代の進歩のお陰かTNG時代よりも落ち着いた「脅威」と「恐怖」を描けてたかなぁとは思う。TNGの時は「それで勝っちゃうの」的お粗末感も否定は出来なかったけど、今回は「地球型テクノロジーを拡張しながらの復旧」という相手側のハンデのお陰で、「何とかなりそう、なるのか?」とギリギリ感を演出できたという事かもしれない。まぁ更に2世紀前の技術で勝てるかよ!という話はまたともかくとして。雰囲気的にね。
 特にドクターがインプラントを埋め込まれた時は、こんなシリーズだから役者降板も十分あり得るんじゃないかと、「え、死ぬの?」と結構ドキドキしながら見ていたもんです、はい(笑)。