自重

 さて、今までは華麗にスルーしまくっていたんだけど、つい手を出してしまいました。
 一部で大人気の「ひぐらしのなく頃に」
 ミステリー趣味こそ無いけれど、狂気に至る心理描写とかそのバックグラウンドとか、(あまり健全な趣味とは言えないけど)そういうのを勝手に期待してしまい首を突っ込んでみた。
 けれども結論から言えば、ガッカリ、というのが正直な所。
 ミステリーをギャルゲーベースに展開した作品かと思いきや、ギャルゲーにミステリーの手法を応用した作品といったもの。つまりはまるで真逆。
 元々の作者の構想は後者だったのだから、ここは求める物の違いだったと言う他ない。

(以下、当然の様にネタバレ含む
 まぁ体験版=第一章で既にキャラ萌えはお腹一杯だったし、何よりも話の長さに躊躇して、結局体験版のみでドロップアウトして粗筋ネタバレに走ったので、細かい所を論ずるつもりは毛頭無い。
 ただ一話から既に怪しいというか、主人公の行動不純があまりにも目立ってしまい、でも「いやいやいやいやいや(まさかそんな事は)」と安易な考えを否定しながらもバレを追ったら、正に「そのまんま」というオチには流石に参った。 結局、事件の真相そのものは錯乱性ウイルスの存在と裏組織の暗躍という、ミステリー視点で追えば「そりゃ無いよ」級のガッカリ感(ココは最初のオマケの煽りも深読みに走る要因だったかと)。まぁもし話を理屈付けようにも一部シーンの原因は幻覚(気狂い)か超常現象かの二択になった時点で既に諦めもついていた、って言えなくはないけれどさ。(或いはホラーの定番的な夢か現実かって演出があればもっと騙されたろうけど、、、後で余計に凹むだけか(笑))
 そう言った観点ではなく、あくまでミステリー要素を取り込みつつ、元来の多分岐型サウンドノベルを逆算してそれら全てを超越者のタイムループという設定で繋ぎ、一つの話として紡いでいったというシステムの妙こそがこの作品の実態。
 ただ、強いて言うと、少々ミステリー要素を安易に片付けてしまったとは思うね。禁じ手などと言われてるけど、実際それでは成り立たないというのが本音じゃないのかなぁ。私的観点で言えば、ミステリー・ホラーの中核は人の思念であれ怨念の類であれ情念的な不定形な物に根付くもので、その芯の捕らえ所の無さがキモかなとも思う。この部分を組織や薬物という確固たる原因に帰結させられたのが違和感の元。ホラー系だけど、過去に折角の不可思議不気味シーンが人為的工作だったというオチで一気に興醒めた例があったし、理屈の付け方にももう少し注意が要るものなんじゃないのかなぁと。

 ま、これは今更の話だとは思う。
 ただ個人的に「がっかりしたー」とはどうしても言わざるを得ない(笑)。



 でもって、そもそもこの作品を囓った切っ掛けは、ぶっちゃけ昨今の残虐性問題な訳でありまして。
 この点、当初はもっとミステリーに絡んだ物があるかと踏んでいたのだけれど、結局はハーレム主人公と美少女の惨劇という典型的なギャルゲーパターンでしかなかった。故に、残虐性はあくまで悲劇を駆り立てるエッセンスでしかない。こうなると少々扱いに気を付けるべき所かなとは思ってしまう。
 単なる気狂いなホラー演出なら珍しくも何ともないけれど、そこはもちっと複雑で、各々の意志で動いている筈のキャラクターが突如として残虐行為に走る、その行為の理由付けが、病的な要因とその背後に潜む社会悪とに集約されてしまう。当人の意志とは離れた外的要因が設定される事で、本人には(直接的な)非がないという同情めいた擁護思想にも陥りがち。ここが実にタチが悪いというか。ぶっちゃけ卑怯なんですよ(笑)。キャラへの感情移入にもってこいだし、凶行については良い様に濁されてしまう。ま、そんな風に捉えるのは一部の人間だと笑い飛ばすのは結構だけど、一部はマジになる訳だからして。ここは予備軍の自分だからこそ言える、と言っておきますか(ぉ)。
 本来は道理が何であれ、「凶器を振るう」ことの是非そのものは明確に表されている筈であって、そこを忘れれば只の快楽殺人と何ら変わらない。本来重要視されるのはこういう倫理的な部分なんじゃないの? と、別にこの作品に限らず思う事なのですがね。

 尤もこの作品そのものは、元々は同人頒布の非常に趣味性の高い物。単なる悪趣味の産物で、その筋では何ら珍しくないレベルの物だろうとは思うし。そういう本来のローカル分野で地味にやってる分には別にどうというものですらない。
 むしろ、これを囃し立てる周辺メディアの無節操さに疑問を覚える。
 と言ってもただ昨今の流行りに乗っただけなんだけど。そういう行け行けの御輿担ぎの発想こそがね。対象の趣味性が高ければこそ、もう少し慎重に構えるべきかと思う。なんて言った所で儲かる以上は勝手にやらかすのは世の常で、だったら規制という壁で遮られても何も文句は言えないと思わなくもない。っつってもその規制自体も只の責任逃れでしかない訳で、所詮、どっちがマシかって次元の話でしかないんだけど。そこの所は今はどうでも良くて。システムが正常に機能していない以上、その上に乗る側が自制していくしかない。
 故に、こういう話題性の高いものが(善し悪しを論ぜぬまま)一気に広まる昨今、もっと接し方を真面目に考えて行くべきかと思う訳で。何でもかんでも目立てば祭るのはいい加減どうなのかなってね。っていうか何でここまで流行ってんのコレ?
 まぁ正直、皆そんな細かい事は気にせず、目の前に在る物をただ摘んで面白おかしく楽しんでるだけ、ってのは分かってますがね。自分がそういう無遠慮な快楽至上主義を嫌うというだけの事で。
 いや、せめて節度を学びたいと言いますか。何事も下地の積み重ねだと思うんだよなぁ。

 要するに何が言いたいかって、「お前等自重しろ」と。そんだけなんすが(笑)。



 などと書き殴って既に空気は最悪ですが(ぉ)、(しかも相変わらず酷い文に凹む、けど諦めて晒す)

 一応書いておくけど、自分の趣味と期待の範疇から離れていたというだけで、この作品(体験版)自体はそれなりに楽しんで読みましたよ。話の構成は昨今の下手な継ぎ接ぎ脚本より余程良く出来てるし。強いてキャラを挙げるなら部長さんみたいなのは見てておもろかったしね。
 それに何より、このサウンドノベルの分岐の仕組みを突き詰めたとも言える、多次元的な語りのシステムは確かに面白いと思う。分岐世界を効果的に見せていくなら順番も考慮するしかないだろうなとは自分でも思っていたし、実際そういう例を何処かで聞いた様な、うろ覚え。
 如何せんサウンドノベルはギャルゲーパターンに偏りっぱなしなので、あの世界に馴染めない自分には手の出しようがない。精々、本家本元の「街」をやったのが最後か。あれもピンクシナリオのオタク物語でドン引きでしたが(苦笑)。
 なんかな、こういうのでもっと普通に触れられる物が欲しいね。ネタ的には好きなのに。
 そういや前に某氏が読んだSF物で、タイムループを匂わせるシナリオで突如物語が以前のページ内容に巻き戻るというよもやの展開に奇跡を予感したものの、実は単なる乱丁だったという強烈なオチ(しかもかなりの枚数がまとまっててすぐには乱丁だと思えなかったらしい)、というのを思い出してしまった(笑)。